仕事、家族…つれづれ 4
今度は、同窓会の話です。
男の胸は弾んでいる。
中学以来、思い焦がれていたマドンナと膝をすり寄せて座っているのだ。
「夢がかなった、三〇年目の同窓会で」男はもうそれだけで、新幹線に乗って帰ってきてよかったと、じーんと感激している。
昔の秀才やクラス一の美人が、"昔の名前で出ています"という歌ではないが、今でもそれを鼻にかけて、"クラス一番"のように振る舞っては、座は白ける。
そうかといって、現在の社会の地位や風体だけで各人を値踏みするわけにはゆかない。
みんな幼いころの言動、素行、いわば人品骨柄を知っているのだ。
だから同窓会の幹事は籤引きで席を決める。
男はそのため憧れの女の隣に座るという予想外の恩恵にあずかった。
「彼女は変わっていない。
亭主に満足しているのだな」。
男は彼女が注いでくれた杯を重ねながら、不増なことを考えている。
みながわいわい言いながら、それぞれが居心地のいい席を見つけて移動し、座は落ち着いてゆく。
男は席を変わらずにいるのだが、だんだん不機嫌になっている。
「君は勉強ができるだけで、女には関心がなかったよなあ」。
昔の悪友が入れ替わりにやってきて、男に無礼な口をききながら、隣のマドンナにはなれなれしく口をきいてゆく。
自分は憧れていただけなのに、こいつらは彼女と昔から何をやっていたのだ。
やはり、こういったことが同窓会の醍醐味というところでしょうか。